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前向きになれる小説~西加奈子「サラバ」(小学館文庫)

time 2017/12/08

又吉直樹さん 中村文則さんとお友達(以前、フジテレビ系「ボクらの時代」にも3人で出演していました)で、テレビ朝日系「アメトーーク!」でも絶賛されている西加奈子さん。

話題の人ではありますがこれまで読んだことはなく、今回初めて「サラバ!」(上中下3巻、小学館文庫)を読みました。

「ボクらの時代」に出ていた印象は「屈託のない明るい人」というものでしたが、この小説も、そうしたご本人の印象とダブるものがあります。

深刻な要素はあるのですが、過度に暗くならず、前向きな感じで貫かれています。

物語は、父親の単身赴任先のイランで生まれた主人公の男性の自叙伝の形式をとります。

この主人公の家族というのが変わり者ばかりで、禁欲的な父、派手な母、自己中心的で暴力的な姉という家族に囲まれ、主人公は常に周りに気を遣う性格が作られていきます。

家族以外にも、イランやエジプトという転勤先で出会った人たちや、大阪の実家の近くで「新興宗教」的なものをやっているおばちゃんとの関わりなど、主人公と身近な人たちとの関わりと、その中で主人公がどう考え、生き方を変え、家族への向き合い方を変えていくのか、といった辺りが、この小説の概要です。

それだけだと3巻もの大部が飽きてしまいそうですが、見てきたように細かい海外の描写やエピソードの細やかさ、主人公の内面に迫る心理描写などが巧みで、やはり現代の人気のある作家なのだなあと思わせるものがあります。

姉の奇行の原因や両親の離婚の理由など、カギとなるエピソードには予定調和的な安易さも感じますが、まあこの手の小説ならば「そういうことかな」とそれほど気にはなりません。

途中で気になったのは、主人公の元に元恋人から間違って電話がかかってくる場面があるのですが、スマホで間違えて通話を押してしまうことなんてあるのかな?と設定にかなり違和感を覚えました。

最後の方で、主人公がエジプト時代の親友と再会し、「小説を書く」という自分の生きる道を定めていくあたりは、なかなか読ませるものがありました。

サラバ! 上 (小学館文庫)

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