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伸びやかな名演 ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 パールマン(Vn)、ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団

time 2017/09/22

ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61は、ベートーヴェンが唯一残したヴァイオリン協奏曲です。ベートーヴェンの中期を代表する傑作で、メンデルスゾーン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とともに「3大ヴァイオリン協奏曲」とも呼ばれています。

ベートーヴェンの作品にしては深刻なところが皆無で、晴朗、快活で詩情豊かな作品です。第1楽章、ティンパニの弱音の連打で始まりすぐに出てくる第1主題から伸びやかな感覚に包まれます。長いオケの序奏は指揮者の腕の見せ所で、ここがうまく演奏されると、いやがうえにも期待が高まります。そして独奏ヴァイオリンがそっと出てきて、オケと幸せな対話を繰り広げます。

幸福感に満ちた第2楽章も良いのですが、私が好きなのは第3楽章の中間部、少しもの悲しげなメロディーが独奏ヴァイオリンとファゴットで奏でられるところです。

超有名曲だけに名盤が多いのですが、イツァーク・パールマンのヴァイオリン、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮フィルハーモニア管弦楽団の演奏を第1に挙げたいと思います。1980年のEMI録音です。

パールマンはイスラエル生まれ、ユダヤ人のヴァイオリニストです。私の世代には、DGやEMIといったメジャー・レーベルに大量の録音を残した存在として、ギドン・クレーメルと双璧の存在です。

4歳のときにポリオ(小児麻痺)にかかり、下半身が不自由になりますが、ヴァイオリニストになる夢をあきらめずに叶えた苦労人でもあります。

でも彼の演奏を聴いていつも思うのは、天性の明るさ、健康な精神の美なのです。パールマンの屈託のない明るく晴れやかな音は、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲にぴったりです。技巧を技巧と感じさせない抜群のテクニックで難所もことなげにこなしています。その巧みさがあってこそ、第1楽章展開部や第3楽章中間部の陰りを帯びた部分が生きてくるのです。

ジュリーニの指揮も立派の一言です。力強く明晰なバランスでオケを鳴らしつつ、パールマンを全力で支えています。ちなみにこのコンビはブラームスの協奏曲も録音していて(オケはシカゴ交響楽団)、こちらも大変な名演です。

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