2023/07/08
薬丸岳さんの小説は初めて読みました。文章に独特のクセがあって、慣れるまで少し分かりにくい部分はあったものの、テーマやストーリーに感銘を受けました。少年犯罪の難しさ、子どもの心の闇の深さ、罪と罰など、久しぶりにいろいろな問題を考えさせられました。
同級生を殺人した容疑で14歳の息子が逮捕される主人公。順調な仕事や私生活が一気に暗転します。動機が知りたくて、息子に面会しても何も話しません。少年審判に備えて、主人公自ら付添い人(刑事事件の弁護士)になることを決意し、粘り強く息子との面談を重ねる中から、同級生からのいじめ、離婚した両親への思いなどが徐々に明らかになってきます。
息子は自分に対していろいろな場面でSOSを出していたことに気づく主人公。そして、被害者の親との面会も果たし、真実を明らかにすることと罪を償うこと、更正させるために、ずっと息子に寄り添っていこうという決意を固めるのです。
加害者に同情すべき点があることは少年審判で明らかになりました。でも少年院に入っても、息子は贖罪意識はありませんでした。そんな息子の姿に、主人公は悩みます。主人公の父親とのエピソードの中で、父親が言う「良い悪いではなく、どうしてそういうことをしたのかを親は考えるべきだ」という趣旨の言葉に、私もハッと気づかされました。
そして最後の章、息子が相手の父親に謝罪に行くまでのやり取りと、実際に謝罪する場面は、大きな感動を与えられました。
罪を犯したとはいえ、主人公の息子が実に両親思い、友達思いの良い少年なのが、やりきれなかったです。罪を犯したことは悪いことですが、最後の最後で、自分の犯した罪に気づくことができて、良かったと思います。
私も息子が2人います。自分の息子だったらどうだっただろうか。私は主人公のように、どんなことがあっても息子に寄り添っていけるだろうか、などとも考えさせられました。
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