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ブルックナーの真髄 朝比奈隆指揮東京都交響楽団の0番ライヴ(フォンテック)

time 2017/11/06

大分以前に発売されたCDですが、最近聴き直してみて、やはり凄い演奏だと思ったので、書かせていただきます。

ブルックナーの交響曲第0番ニ短調は、1番よりあとに作曲されたそうですが、「0 」「全く通用しない)」「たんなる試作」などとブルックナー自信が記したため、習作のような扱いがされていて、演奏機会もあまりない曲です。

しかし、どうしてどうして、とても魅力的な曲です。私はLP時代に、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の録音を聴いて好きになり、当時、何度もこのLPを聴きました。

朝比奈の大フィルとの0番は1978年の録音でしたが、この盤は1982年5月12日、東京文化会館での定期演奏会のライヴです。大フィル盤も手の内に入った名演でしたが、都響盤はさらに練り上げられた演奏で、初出のレコード芸術月評欄で小石忠男さんが「朝比奈の全ブルックナー録音の中でも上位の演奏」といった趣旨のことを書いておられたのも納得の名演です。

第1楽章冒頭の弦の刻みから、少し強めの音でしっかりとした足取りで進む、いつもの朝比奈流。トゥッティの分厚いハーモニーも他盤ではあまり聴かれない豪壮なもの。第2楽章のブルックナー初期ならではの田園的な叙情も、神経質になることなく伸びやかに歌います。荒々しい第3楽章はいつもの朝比奈節全開。そしてフィナーレも金管、打楽器の強奏がいささかもうるさくならないにもかかわらず、大変な迫力を感じさせるという理想的な名演です。要所ではティンパニの強打も聴かれ、「これぞ朝比奈のブルックナー」とうれしくなります。

演奏後の聴衆の熱狂ぶりも収録されています。1982年といえば、朝比奈にまだ晩年のようなカリスマ的な人気はなく、ブルックナーの初期交響曲もあまり実演では演奏されていなかった時期だと思います。そんな早い時期にこんなにブルックナーの真髄を突いた名演ができるとは、やはり朝比奈という指揮者は大変偉大なブルックナー指揮者だったと思うのです。

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