新宿「伊勢丹」の横、その名の通りの路地の角にある「王ろじ」(ろじ=路地かどうかは分かりませんが)は、大正10年創業の老舗とんかつ屋さんです。私は学生の頃に1度友人と行ったきりでしたが、最近、本当に久しぶりに訪問することができました。
「とん丼」(1050円)という名のカツカレーが名物で、これを注文するお客さんが多いです。また注文を受けてからベーコンとタマネギを炒め、麹で仕上げるという「とん汁」(450円)はいわゆる豚汁とは違った独特のもので、とん丼と一緒に頼む人も多いようです。
両方頼むと1,500円ですので、なかなかのお値段にはなってしまいます。
注文するとまず、王ろじ漬けが出てきます。大根の薄切りの醤油漬けのような感じです。
「とん丼」はお皿と丼がくっついたこれまた独特の容器に入って出てきます。スプーンが付いています。ごはんの上にカレーがかかっていて、とんかつが3切れ、とんかつにはドロっとしたソースがかかっています。
このとんかつがまた独特で、最初は成型肉?と思いました。成型肉というとあまり良いイメージがありませんが、ここのはそういう低レベルのものではなく、上質のヒレ肉(脂身も結構あるので、ロースも混じっているかもしれません)の大き目の固まりを集めて、俵型に丸めて揚げたような感じです。
その1個のとんかつを3切れに切ってカレー丼の上に乗せています。ですので、真ん中の部分は衣が周りにしか付いていません。肉は柔らかいです。噛むと肉汁がジュワっと出てきます。衣は結構厚めで時間をかけて揚げてあるので、カリカリしたクリスピーな触感が楽しめます。
このとんかつはかなりいい仕事をしています。外はカリっと、中はジューシーで、これだけで食べてもおいしいと思います。
カレールーは自家製なのかどうか分かりませんが、それほど特徴のないものです。辛さはあまり感じず、具のない甘口の欧風カレーのようです。難点はご飯の量に対してカレーが少ないことです。カツカレーというには違うような気がします。
とんかつにソースが結構かかっていて、カレーに混ざってしまうのは、好みが分かれるかもしれません。
ご飯の量はそれほど多くなく、とんかつも3切れあるとはいえ、もともとの1個が大きいわけでないので、全体としてはボリュームを求める人には少し物足りないかもしれません。でもそこはとんかつですので、食べ終えてしばらく経つと腹がくちてきて、結構腹持ちは良い方だと思います。
とん汁は、具がタマネギ、ベーコン、豆腐、しいたけなど。それほど具沢山というわけではありません。ミソの味はあまり感じず、でも麹で仕上げているので、味噌汁に近い感じがします。ベーコンとタマネギを炒めているので、洋風スープのような香りもします。不思議な味です。思っていたほど熱々でなかったのは少し残念でした。
とん丼以外のメニューとしては、とんかつセットとエビフライセット(いずれも1800円)がありました。こちらにはメーンのほかにとん汁と王ろじ漬けが付きます。
店内はそれほど広くなく、時間帯によっては行列が出来ていることもあります。中国人の観光客も多かったです。1階はカウンターとテーブル、地下にも席があるようでした。
全体として、メニューには「とん丼」(カツカレー)と表記してあるのですが、カツカレーと思うと違うし、何とも表現の難しい、しかしおいしい食べ物ではあります。現代風に合わせるのではなく、昔ながらのやり方で味を守っているお店のように感じました。
ごちそうさまでした。
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