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シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」の名盤 レヴァイン(P)、ヘッツェル(Vn)ほか/バドゥラ=スコダ(P)、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

time 2017/08/07

シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」の名盤 レヴァイン(P)、ヘッツェル(Vn)ほか/バドゥラ=スコダ(P)、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団

フランツ・シューベルトの「ます」は、第4楽章に自作の歌曲「ます」の旋律を用いた変奏曲としているため、この名前が付いています。その名の通り、清冽な雰囲気が全曲を支配していて、爽やかな曲です。

ピアノと弦楽四重奏という通常のピアノ五重奏曲の編成とは異なり、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという変則的な編成です。5楽章からなります。

レヴァイン(P)ほか

この曲はいろいろな名盤が出ていますが、指揮者のジェイムス・レヴァインがピアノを弾き、ウィーンフィル、ベルリンフィルの面々がソリストを務めたDG盤(1990年録音)が新鮮な演奏で素晴らしいです。メンバーはジェイムス・レヴァイン(ピアノ)、ゲルハルト・ヘッツェル(ヴァイオリン)、ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)、ゲオルク・ファウスト(チェロ)、アロイス・ポッシュ(コントラバス)。

レヴァインのピアノがうまいのは知っていましたが、この演奏を聴いて本当に見直しました。曲想に合わせてピアノがでしゃばり過ぎることなく、清潔な演奏に徹しています。この曲のピアノパートは高音のユニゾンが多く、決して弾きやすい曲ではないのですが、テクニック的にも完璧です。弦楽器奏者との息もぴったり合っています。

ウィーンフィルのコンサートマスターだったヘッツェルのヴァイオリンも、伸びやかなフレージングと歌い回しのうまさが光ります。総じて弦楽パートはオーケストラメンバーらしく、刻みなども克明でアンサンブルの良さもこの盤の大きな魅力です。

CDではハーゲン弦楽四重奏団の演奏で、同じシューベルトの「死と乙女」が収録されていて、こちらも現代的でダイナミックな、聴きどころの多い演奏です。

バドゥラ=スコダ(P)ほか

「ます」ではもう1点、紹介させてください。パウル・バドゥラ=スコダのピアノ、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団(1950年、ウェストミンスター)のモノラル録音です。

これは私的に大変な名演です。「ウェストミンスター・レガシー室内楽」という59枚組の室内楽大全集のうちの1枚で聴いて、感動した音源です。

バドゥラ=スコダというと、グルダ、デムスとともに「ウィーン三羽烏」として名前は知っていました。また近年は円熟した巨匠としての名声も聞いていましたが、きちんと聴いたのは、これが初めてでした。

何とも言えない香気に満ちた演奏です。それでいてまったく下品でなく、あくまでも古き良きウィーン的な格調の高い演奏です。あまりウィーンを強調しすぎる団体は好きではないのですが、このウェストミンスターの一連の録音は「これぞウィーン芸術の精華!」とでも言いたくなるような録音ばかりです。

と書いたからには、今風の演奏ではありません。ピアノ、弦楽合奏とも、昔のヨーロッパの味わいがあります。技巧的には決して下手ではないですが、現代の演奏家のようにバリバリと弾く感じではありません。が、「これは自分たちの音楽だ」といわんばかりの説得力の強い演奏です。

ウェストミンスターといえば、アメリカのレーベルですが、第二次大戦後の連合軍のウィーン占領中に、敗戦国側のレーベルが活動を本格的に再開できなかった頃に、現地の演奏家を使って大量の録音をしています。

特に、少人数で録音できる室内楽は手軽だったのでしょう。コンツェルトハウス四重奏団、バリリ四重奏団、クラリネットのウラッハ、ピアノのスコダやデムスなど、当時全盛期だったアーティストの録音が多数残っているのは、うれしいことです。

多くがモノラル録音ですが、鑑賞に支障はありません。
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