2023/07/08
きょうも暑いですね。梅雨明け前からこんなに暑いと、今年の夏はいったいどうなってしまうんだろうと、今から本当にうんざりします。
そんな暑い日にふさわしいかどうか微妙ですが、ガブリエル・フォーレの室内楽です。ふだんフランス音楽はそれほど頻繁に聴くわけではないのですが、このフォーレのピアノ四重奏曲大1番ハ短調 作品15は、大分以前にNHKテレビでこのCDと同じダルベルトのピアノ(その他のメンバーは忘れました)で聴いたときに「いい曲だな」と感じたのをきっかけに、ときどきフォーレの室内楽曲を聴いています。
フォーレは1845年にフランス南部パミエで生まれ、1924年パリで没した作曲家。活躍年代や作風からロマン派に属するといっていいと思います。ドビュッシーやラヴェルのような独創性はありませんが、メロディーが美しく、親しみやすい曲を作りました。有名なのは「レクイエム」や「パヴァーヌ」ですね。いずれも中期の作品です。
室内楽もたくさん作曲しました。ピアノ四重奏曲は2曲あり、この第1番は、ヴァイオリン・ソナタ第1番などと並んで初期の代表作です。中期以降の抽象性、深みはなく、たいへん分かりやすく親しみやすい曲です。全4楽章からなり、演奏時間は約30分です。
弦のユニゾンでいきなり出てくる第1楽章第1主題から大変情熱的、ロマンティックな音楽です。ピアノはヴィルトゥオーゾ的に華やかに活躍します。第2楽章は洒脱なスケルツォ。第3楽章は憂愁漂うアダージョで、この作品全体の山場となる楽章。フィナーレはソナタ形式でやはり情熱的な音楽です。
演奏は以前はジャン・ユボーのピアノ、レイモン・ガロア=モンブランのヴァイオリンほかのエラート盤が定番とされていて、私も愛聴していたのですが、最近、最初に聴いたダルベルトがピアノを弾いたCDが出ているのを発見し、思わず買ってしまいました。これがまた録音の良さもあってか素晴らしい演奏です。
演奏は、ミシェル・ダルベルト(ピアノ)、ルノー・カプソン(ヴァイオリン)、ジェラール・コセ(ヴィオラ)、ゴーティエ・カプソン(チェロ)。2010年の録音(エラート)です。
ダルベルトは1955年、フランス・パリ生まれ。もう年齢的には巨匠の域ですね。切れの良いテクニックを生かした小粋なピアノを弾く人、というイメージがありましたが、シューベルトのソナタなどでは深みのある解釈を聴かせます。
このフォーレでは、小粋なピアニズムはそのままに、スケールの大きさも併せ持った演奏をしています。カプソン兄弟は若手らしい情熱的な演奏。コセは歌うところは歌いながら、ベテランらしく巧みにアンサンブルの要所を引き締めています。
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