重厚さはないものの、スピーディーな展開でぐいぐい読ませる犯罪小説です。文庫の帯に「めまぐるしい展開の連続と圧倒的な読み応えはディーヴァー級」とミステリ書評家の村上貴史氏が寄せていますが、たしかにディーヴァーに近いテイストを持った小説です。
著者は、テレビの「ウルトラマンティガ」で脚本家デビューし、「トリック」「相棒」など刑事ドラマやサスペンスで高い評価を得ています。2012年に、この「犯罪者」で小説家デビューしました。
物語は、冒頭の通り魔事件と、その背景にある食品会社の乳幼児向け食品を巡る犯罪とが絡み合って進んでいきます。企業と政治家の癒着、産業廃棄物問題…など、いろいろな要素を巻き込みつつ、スピーディーに展開していきます。
建設作業員の修司、刑事の相馬、フリーライターの鑓水の3人を中心に、驚くべき犯罪を暴いていきます。脚本家らしくストーリー展開のテンポが良く、セリフも上手いです。そういう意味では映像向きの小説といえるかと思います。
1作目からこの完成度というのは、やはり才能があるのでしょう。
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