梅雨はどこへやら。連日の暑さが続き、かなりバテ気味です。
こんな夏の日にふさわしいのがブラームスの交響曲第2番 ニ長調 作品73です。「ブラームスなんて暑苦しい…」という人もいるかもしれませんが、私にとってこの曲はやはり夏をイメージします。それはブラームスが避暑地で作った曲だからかもしれません。
1877年6月、ブラームスは南オーストリアのケルンテン地方、ヴェルター湖畔のペルチャッハに避暑のため滞在しました。ここで第2交響曲の作曲に着手し、9月にはほぼ完成しました。10月にバーデン=バーデン近郊のリヒテンタールに移り、そこで全曲を書き上げました。
推敲に推敲を重ね、作曲に20年あまりかかった第1交響曲と対照的に、4か月間という短期間で書き上げられたこの交響曲は、楽想も劇的な第1番と対照的に快活で伸びやかなものです。牧歌的な雰囲気から「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれることもあります。
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団のDG盤を愛聴しています。1980年の録音。ジュリーニはのちにウィーン・フィルともDGに全集を作っていますが、この時期の方が筋肉質で引き締まっていて私は好きです。ちなみにジュリーニが当時の手兵ロスフィルと録音した、同じブラームスの1番、シューマン「ライン」、ベートーヴェン「運命」などはいずれ劣らぬ名演ぞろいです。
このブラームスもジュリーニらしい「貴族的」とも形容したい名演です。ブラームスの旋律をゆったりとしたテンポで紡いでいくのは、いつものジュリーニのスタイルです。同じイタリア人の指揮者だと、ムーティなどはもっとなりふり構わず歌い上げるタイプですが、ジュリーニの歌い方はやや抑制的です。それでも第1楽章第2主題などでは目の前が開けるかのような、何ともいえない解放感が示されます。
細部の彫琢や楽器のバランス、構成感なども十分配慮されています。ロスフィルも重厚な響きでこたえていて、知らないで聴いたらドイツの楽団と言われてもわかりません。
全体にテンポは遅めですが、引き締まっているので実際の演奏時間ほど遅くは感じません。後年のウィーンフィルとの録音は、ウィーンフィルの音色と上手さが目立ちましたが、こちらはよりジュリーニのしなやかな強靭さといったものが前面に出ているように感じます。
第1楽章のスケールの大きい中にも、伸びやかに歌うしなやかさ。第2楽章の深い呼吸で格調高く歌われるロマン性は特に素晴らしいです。鄙びた感じの第3楽章を経て、爆発的な歓喜のフィナーレへ。設計の巧さが光ります。
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