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深い、深すぎます! ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番 バルヒェット四重奏団

time 2017/06/29

ベートーヴェンは弦楽四重奏曲を16曲書きました。一般的に人気が高いのは「ラズモフスキー」などの入っている中期の曲ですが、後期の12~16番は内容的にきわめて奥が深く、バッハの無伴奏、平均律にも並ぶ、器楽分野での最高峰といえます。

どの曲も甲乙付けがたいのですが、私が学生時代にとても好きになり、今でもたまに聴くのが15番イ短調作品132です。番号は最後から2番目ですが、実際の作曲順では1825年の作で、後期の2番目となります。

第1楽章は序奏付きのソナタ形式で、悲痛な感じの楽章。第2楽章はメヌエットですが優雅さよりはどこか虚無的な印象を受けます。

そして、この曲で有名なのは第3楽章です。ベートーヴェンは「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」と付けました。教会旋法の敬虔なメロディーが続き、途中で速くなり明るい喜びに満ちた調べが鳴り響きます。ここのところが実に感動的です。ベートーヴェン自身が重病から回復した後に作曲されたため、上記のような題名が付けられたそうです。

第4楽章は間奏曲。切れ目なく最終の第5楽章に続きます。この第5楽章のテーマは、当初、交響曲第9番の合唱のない終楽章に使うつもりだったらしいです。第9交響曲第4楽章のあの有名すぎる歓喜のテーマとは正反対の、厳しく愁いのあるメロディーが続きます。最後は長調に転じて力強く終わります。

後期の中では、比較的メロディーも構成も分かりやすいので、馴染みのない人が取っ掛かりとして聴くには良いと思います。

演奏は少し古い録音ですが、ドイツのバルヒェット四重奏団のものが出色です。オイロディスク原盤。シュトゥットガルト生まれの名ヴァイオリニスト、ラインホルト・バルヒェットが結成した四重奏団で、特にベートーヴェンを得意とした団体です。

現代的なシャープな演奏とは対極的に、手作りの木の温かさを感じさせる演奏です。呼吸が深く、第3楽章などでは感動的な演奏を繰り広げます。第5楽章の悲しみに満ちた提示部分の表現も圧倒的です。

こういう曲、演奏は何かをしながらは、聴けないです。じっくり聴き込みたいです。もしこの曲に何かを感じられたなら、次は16番、12番辺りがおススメです。

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